当院での診察の際には次のような姿勢を取っていただきます。
診察はおおきく分けて3種類の方法があります。
視診…肛門周囲に異常がないか目で見て確認します。
触診…肛門の内側や外側を指で触って疼痛や腫瘤性病変有無を調べます。
肛門鏡診…肛門内に肛門鏡を挿入して、肛門内部の状態を診察します。
手術は痔の種類によって、手術方法が異なります。
それぞれの疾患については「こんなお悩みありませんか?」で詳しく説明いたしますが、疾患に応じた手術方法は下記の通りです。
痔核(いぼ痔)の手術
痔核の根元の部分で、痔核に入り込む動脈を結び、肛門の外側に出てくる痔核をレーザーメスで切り取ります。
裂肛(裂け痔)の手術
裂肛の場合は保存的治療で経過観察をすることがほとんどです。
しかし、傷が深くて痛みが長時間続く方や肛門が著しく縮小している方には手術を行います。
肛門内括約筋の一部を切開して肛門を広げる方法と、肛門の外側の皮膚を肛門内に移動させて肛門を広げる方法の二つがあります。
痔ろう(穴痔)の手術
痔ろうに対してはほぼ全例手術が必要となります。
痔管が浅い場合には膿の通り道を入り口から出口まで切り開き、開放する手術を行います。
痔管が深い場合や複雑な走行をとる場合には、内括約筋をできるだけ傷つけないようにして、膿の入り口から出口までを切除します。
手術期間は症状に応じてさまざまです。
症状の軽い方では外来処置で済みますが、痔核や痔ろうの手術で入院される方は1~2週程度の入院が必要となります。
費用に関しては、保険診療となります。
目安としては2週間程度の入院で自己負担総額は9~11万円程度です。
手術中は腰椎麻酔を使用しますので、術中の痛みは全くありません。
手術後5~6時間程度で麻酔効果が消えますので、次第に痛みが出現します。
しかし、レーザーメスを使用するようになり、鎮痛剤を服用する程度で済む方がほとんどです。
痔核や裂肛、痔ろうの根治手術は原則として入院管理の上で手術を行います。
手術の後も排便はいつも通りあり、術後の傷の上を便が通過することになります。
そのために傷から細菌感染する危険性や、肛門部から出血する可能性があります。
安全で安心な治療を患者様に提供するためにも根本治療では入院手術をおすすめしています。
もちろん局所麻酔で出来る外痔核の処置や肛門周囲膿瘍の切開排膿術は日帰りで行っています。
根本的な治療ではありませんが、いぼ痔の治療に硬化療法や輪ゴム結紮療法などがあります。
硬化療法
痔核の中に硬化剤を注射して、痔核を硬化・縮小させます。
また、痔核からの出血を抑える効果があります。
輪ゴム結紮療法
痔核の根元にゴム輪をかけて徐々に締め付けて、痔核を脱落させます。
1~2週間で痔核はとれ、傷も残さずに処置ができます。
痔核の大きさやできた場所によっては処置が不可能な場合もあります。